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ニューバランスのキーパーソンが語る「僕とボストンとニューバランス」

Words by Winsome Li(GQ)Photographs by Kobayashi Takashi (ITARU Studio)ギャラリー:ニューバランスのキーパーソンが語る「僕とボストンとニューバランス」Gallery21 PhotosBy Winsome Li (GQ)View Gallery2023年4月、『GQ JAPAN』はボストンを訪ね、ニューバランスのライフスタイル部門のストラテジック・ビジネス・ユニット・マネージャー(Strategic Business Unit Manager)を務めるクリス・デイヴィス氏にインタビューした。ニューバランスの新モデルや他の企業とのコラボシューズなど、クリスが考案して人気を博した企画。だから、彼の考えを知ることは、世界中で人気を得る秘訣を知ることにつながる。そう考えてクリスに会ったのだが、話はニューバランス生誕の地、ボストンの文化から始まった。ボストンの背景と人、それにブランドが歩んできた歴史を踏まえて、現在のニューバランスがある。ボストン人しか見抜けない、ニューバランスの魅力をクリスさんに教えてもらった。──クリスさんはボストンで生まれ育ったのですか?そうです。子どもの頃からスポーツが大好きで、アメフト、サッカー、バスケ、陸上、ラクロス、スキーと、なんでもやりました。とくにスキーが好きなので、洋服やライフスタイルに対する興味も、スキーがきっかけだったんです。──やはり子どもの頃からニューバランスを履いていたのですか?僕はまさにニューバランスを履いて育ちました。だからこそ、ブランドに強い愛着があるんです。ボストンの人の多くがそうなんじゃないかな。ニューバランスはタイムレスなブランドなので、セクシーなんですよね。──ニューバランスはボストンの人々に愛されているんですね。その通り。ボストンに住む人は、ニューバランスのことを誇りに思っています。同時に、ニューバランスはボストンで社会貢献活動にも取り組んでいます。地域の学校や病院、子どもたちへの支援活動をたくさん展開しているんですよ。社会の発展に積極的に関与しているから、ボストンの人々に愛されているんでしょうね。──ニューバランスのシューズにはネイビー、グレー、ボルドーがよく使われます。なぜこれらの色がメインカラーなのですか?この三色を採用した理由は、街中で走っているうちにシューズが汚れても、それを見せないように、そして街で履いてもカッコイイシューズにするためだったんです。1970〜80年代のランニングシューズは、明るい色が主流でした。そして走る場所も郊外が主でした。ニューバランスはその常識を打ち破ろうとしたんです。街中で走っても違和感のない、むしろ街を走ってみんなに見てもらいたいような、ファッショナブルなシューズを提案したかったんです。当時はこの三色を使ったランニングシューズがあまりありませんでした。私たちがこれらの色をランニングシューズに導入したんです。ですから、ネイビーとグレー、ボルドーは“ニューバランス カラー”と呼んでも過言ではありませんね。──ボルドーは、ハーバード大学のキーカラーに似ていますよね。同大にインスパイアされたんですか?ボルドーカラーを見ると、ハーバードやボストンに関するさまざまな物事が思い出されます。とくにボストンの人はそうでしょうね。だから、ボルドーは私たちにとって特別な色なんです。2023年、ニューバランスの新本社がボストン・ランディングにオープンした──ニューバランスは100年以上の歴史を持つブランドですが、歴史だけでなく、常に新しいチャレンジを試みていますよね。僕はニューバランスを「100歳のスタートアップ企業」だと思っています(笑)。どんなブランドでも、オーセンティックであることを重視します。過去のプロダクトがなかったら、今日のニューバランスは成り立ちません。アーカイブの商品をリバイバルさせるのは、ブランドの歴史に敬意を表することでもあります。──今後の目標は?私たちの目標は「Biggest(=会社の規模)」ではなく、「Best」になることです。「Best」とは、クオリティーとイノベーションの両面で業界のリーダーに成長して、世界で一番プレミアムなスニーカーブランドになること、と言い換えられます。──ニューバランスのシューズの中で、一番のお気に入りは?テニススタイルの「CRT300」です。ニューバランスの良さがたくさん詰め込まれたモデルで、ほかのシューズとは一味違うんです。シンプルでクリーンな形だから、どんな服にも合わせられますよ。歴史とモダンを融合したニューバランスの新本社インタビューした翌日、ニューバランスがボストンの郊外、街から車で20分ほどの場所に建てた新本社を訪ねた。この「BOSTON LANDING」と呼ばれるボストンの新しいランドマークを見て、クリスさんが言っていたことがよくわかった。Most Popularニューバランス「550」の“Hemp”は夏らしく涼しげ!By Guillermina Carro愛車の履歴書──Vol17. 中山美穂さん(後編)By 河西啓介新型トヨタ・タコマが登場!By 稲垣邦康(GQ)新本社は外観こそモダンで先進的なデザインだが、屋内に一歩足を踏み入れるとニューバランスの歴史を示す資料と過去の著名モデルが多数展示されている。ブランドの足跡をたどる展示を見ていると、ニューバランスの栄光の過去と、これからやってくる華々しい未来を予感させられた。それを言葉で表現するなら、それはクリスさんがまさに語ったように「ニューバランスは100歳のスタートアップ企業」ということになるだろう。2023年の今年ブランド生誕110年を迎えたニューバランス、今後もどんな進化を遂げていくのか楽しみだ。
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