高知大神宮さんにて役目を終えた印鑑を供養する「印納祭」を行いました

10月1日に高知大神宮さんにて高知県印章業組合連合会で、役目を終えた印鑑を供養する「印納祭」を行いました。印納祭とは、持ち主が亡くなったり、欠けたりした印鑑を焼納する行事で、明治期に政府が実印制度を始めたことを記念する10月1日「印章の日」に毎年行っています。

当店では、はんこの処分に困った方にご相談いただいた際には、印納祭のことをご説明させていただき、責任を持ってお預かりして供養させていただくようにしております。

また、今年は印鑑・はんこが密かに注目されていることもあり、例年より多くメディアの方が取材に来ていました。

はんこが注目されているのは河野大臣が9月24日、全府省に印鑑使用を原則廃止するよう文書で要請したことがきっかけです。
この件についてのインターネットの記事やSNSの投稿、テレビのコメンテーターの発言の中には「大臣がはんこを全てなくそうとしている」と認識してしまっている方もいらっしゃいますが、それは間違いです。今河野大臣がおっしゃられているのは行政の手続きで使用する押印(認印)の廃止のみです。

また「印鑑証明が必要なもの、銀行印が必要なもの、契約書などを除く」と大臣のHPにも明記されており、引き続き実印、銀行印等のはんこについては押印を必要としていることが分かります。

というのも、銀行印の使用や登録できる銀行印についてのルールは各銀行によって異なり、国で設定しているものではありません。そのため、全ての銀行が銀行印の登録を廃止すれば銀行印はなくなりますが、それは大臣が決定できることではなく各銀行の判断となります。

実印に関しても、民事訴訟法 第228条4項で「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する」と規定されており、法律の改正が必要になるため、これも大臣が決定できる話ではありません。

そして今回大臣が要請した行政の手続きで使用する押印(認印)に関しては、大臣や行政に携わる方々が決めることであり、より効率的に行政が行える環境にするためなのであれば、行政の手続きに関する押印(認印)を廃止することは必要なことだと考えております。

また、今回行政の手続きで使用する押印(認印)について話題になっておりますが、日本中のすべての認印を廃止し、文書を電子化することが効率化に繋がるわけではありません。
日本には410万社以上もの会社があり、最も多いのが「卸売業、小売業」、次いで「宿泊業、飲食サービス業」「建設業」「製造業」と続きます。業種によって業務フローは異なり、社内文書をすべて電子化することで業務が効率的になる会社もあれば、そうではない会社もたくさんあります。無理に電子化こそ全て!と考えるのではなく、各会社が自社の業務内容や働く人に合った仕事の仕方を決定し、選択することが大切です。